ファイナルステージ

火曜日は、母の診察日だった。診察は父が入院している病院……診察後、いい機会なので、母を父の病室に連れていった。父はとても喜んで、母のためにまだ生きる、前向きに頑張ると言った。
ああ、良かったと思ったのだった。
が、昨日、大学帰りに病室に行くと、父はやはり食べず、リハビリもせず、わがまま放題の様子。食べたいというので買っていった箱寿司と串揚げは、だいぶ粘って少し食べてくれたが、あと一口だけ食べてと口に運ぶと、ぺっ!と、ベッドに吐かれた。めげずに何度か口に運ぶが、何度もぺっ! されて、さすがに疲れた。

父が食べない要因は、現段階ではわからない。
肺炎が治り、熱もなく、もうしんどそうな顔はしていない。床擦れも少し良くなってきている。食道や胃に、腫瘍や潰瘍があるのかもしれないが、便の検査では問題ない。
もし、いつもの「気分がのらないだけ、めんどくさい」という理由で食べない、動かないのだとしたら、先生がおっしゃった通り……もったいない事である。
命をつなぐかどうかの瀬戸際なのに。父という人は、これまで何でも何とかなるで過ごしてきたのだ。実際、何度も何とかならない状況になっているが、毎度誰かが助けてくれてきた。私だって、出来る限りの事をしてきた。しかし、今回ばかりは……。

月曜日に、本人は嫌がるだろうが、内視鏡で腸と胃を検査してもらう事にしている。
食べない理由は、わがままだけではないかもしれない。
でも、もし腸や胃にトラブルがあったとしても、もう少し前向きに謙虚に、人に感謝しながら、努力する事は出来ると思う。
人生のファイナルステージ、それでいいのかと、父に話した。
始めは馬鹿にするようにしか聞いていなかったが、私があまりに真剣なので、そのうちきちんと聞いてくれた(と信じたい)。
あと何年父が生きるかはわからないが、あと数日であれ、10年であれ、もうファイナルステージであると思う。
あと20年以上はさすがにないだろうし。

嫌われ、人を傷つけたまま、人生を終えるのでいいん?
私やお姉ちゃんやお兄ちゃんは、今回かなり向き合おうとしたけど、お父さんははそっぽを向いたまま。いいん?
これまでそれなりの愛情を持って育ててくれたはずやん、だから感謝してるし、いいお父さんでいて欲しいと思ってる。でも、これじゃ好きなままでいる自信ないわ。
どう人生を終えるかは、お父さんが選ぶことやけど。
食べる食べない、リハビリするしない、わがまま言う言わない、全部軽く考えてるんやったら、もう挽回出来ない段階やで。
しっかり考えてみた方がいいよ。

と、そんな事を話して、帰ってきた。

さて、今日はどうなっているのやら。

今朝は母の痙攣がひどく、心配。
このままおさまらないようなら、すぐに救急車を呼んで下さいとヘルパーさんに頼んできた。今から私は大学、姉はお店。
何があっても、お仕事はきちんと。これは介護をする選択をした時からの決め事なので。



by honnara-do | 2017-11-16 13:32 | 家族 | Trackback

作家・楠章子のきまぐれ*のんびりブログ*日々のささやかなことを書いていこうと思います


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