少しずつ

今日は、母を父に会わせにいってきたが、父は元気なく、声をかけるとうなずきはするものの、目を開けてはくれなかった。
ここしばらく劇的な変化はないが、少しずつ弱っていっていると思う。
二酸化炭素が溜まっているので、昼間も酸素加圧のマスクが外せない。
転院先は、まだ決まらないが、探してはいる。リストの病院を1つずつ見学している。
延命については、正解というものがわからないままだ。

もうすぐ毎日新聞(関西版)で、お話の連載が始まる。
タイトルは「ハニーのためにできること」
昨年、父と母が飼っていた老犬を看取った経験から生まれたお話。犬の介護に重ねて、人間の介護についても考えてもらえればと思う。書いていた期間は、父を見つめる日々だった。お話の中では、延命についても考える。
ちなみに、私は生まれた時から、ずっと家に犬と猫がいる。この先も、出来るなら動物(できれば犬か猫)と暮らしていきたい。でも、子どもがいない自分に何かあった時、動物にかわいそうな事になるのではないか、誰かに迷惑をかけるのは良くないと考えてしまう。今、猫が2匹いるが、このこたちがいなくなって、また新しいこを迎えるかと考えると、やはり躊躇う。
子どもがいる人だって、同居していない場合は、同じように考えるのでは。
独居老人だって、安心して動物と暮らせる社会になればいいのになあ。
そんな未来に期待してのお話である。願いをこめて、主人公のふたばには、頑張ってもらう。
連載は5月の1ヶ月間。エブリディ!



# by honnara-do | 2018-04-29 13:55 | 家族 | Trackback

すみれの会

今日は、母がお世話になっている脳神経内科の先生が、「認知症お悩み相談会」をされるというので、参加させてもらった。
「すみれの会」という名前もついて、今後も月一回行われるそうだ。
母の症状が出始めた(いわゆる初期の)頃に、こういう会があれば、どんなに救われたことかと思う。
どこに相談していいかもわからず、だれにも話せず、わが家の介護ははじめ、かなり閉じたものになってしまった。
早くもっとオープンにしていくべきだった。
何より認知症のお薬を飲ませるのが遅れたし、父に負担をかけたし、母も不安で心細かっただろう。

今日は第1回目で、どれくらいの人が集まるのか、先生や看護師さんもわからないと話しておられたけれど、けっこうたくさんの人が病院内のはり紙を見て参加された。
とても良かったなと思ったのは、認知症の家族を支えている人、それからご自身が認知症の症状で不安を抱えている人の両方が集まり、今の気持ちを話し合った事だった。
家族たちは「わかっていても怒ってしまい、自己嫌悪に陥る」と話し、ご本人たちは「こんなことが出来ずに困った」経験などを話した。
ご本人は自分の子どもや伴侶には話せなかった心の内を語り、家族は自分の親や奥さんが話さなかった心の内を想像したのでは。
お互い近すぎると言えないことが、だれかになら話せる。そして、だれかを通して聞くことが、近い人の声だったりする。

うちはもう初期の悩みは通り過ぎたけれど、わが家の経験が何かみなさんのお役にたてばと思うので、次回も参加させてもらうつもりでいる。



# by honnara-do | 2018-04-23 23:18 | 家族 | Trackback

高丘親王航海記

「高丘親王航海記」 ITOプロジェクト
原作 澁澤龍彦 ・ 脚本、演出 天野天街

を、観てきました。糸あやつり人形芝居、初めて拝見しましたが、想像以上にすばらしかった!

人形たちは、まるで生きているように動いていました。でも、人形独特のかたさが、幻想的なこのお芝居に妖しさを生み、何とも美しい世界が創り上がっていました。
入院中に澁澤龍彦が書き、遺作となったこの作品。天竺めざす親王と病床で死を見つめただろう澁澤龍彦が重なり、熱いものがこみあげてきました。
ラストシーンで、病におかされた親王はトラに喰われる事を望みます。その身を腹の中におさめたトラに、天竺まで運んでもらおうと考えるのです。澁澤龍彦は、死への恐怖を抱えながらペンをすすめ、このラストシーンに辿り着いたのでしょうか。祈りをこめたような、悟りをひらいたような……いろいろ考えさせられるラストでした。
また親王の人形は、亡くなった維新派の松本雄吉さんをモデルに作られているそうで、松本雄吉さんと親交のあった人は、さらに感慨深かったのでは。亡くなった人が人形となり、目の前にあらわれるんですもの、そして幻想的な旅をしながら天竺をめざすんですもの、けれど病で志半ばとなり、でもあきらめず、トラに喰われることで辿りつこうとするんですもの。
トラに喰われることを、親王はグッドアイデアのように話していました。そういう辿り着き方もある、私もグッドアイデアだと思います。澁澤龍彦や松本雄吉さんや、自分の周りの亡くなった人たちのことを考えながら、すごく救われた気分でした。ああ、レクイエムのようなお芝居だったな。

親王役の飯室康一さん主宰の京都にある劇団みのむしさん、何度かお誘い頂いたのに行けないままで、本日拝見出来て本当に良かった。
人形には細そうな糸が何本もつながっていて、絡まないのが不思議でした。人形を操るのと、声の人は別だと思っていたら、同じ人でびっくりしました。
それから、人形を作るのも操っていたみなさんだと聞いて、ふたたびびっくり。糸あやつりのみなさん、すごすぎます!

# by honnara-do | 2018-04-23 00:29 | 演劇 | Trackback

あたらしい絵本大賞

今日は「あたらしい絵本大賞」の表彰式に出席して、「ほしぞらのきょうりゅうたち」で大賞にかがやいた☆中田美智代さんに花束を渡した。花束はもらうのも嬉しいが、渡すのも嬉しい。中田さん、おめでとう!

中田さんは絵本教室アミー二の生徒さんで、はじめーる、ふかめーる、つくーるという1年間の基礎クラスを経て、今はみてみてクラス(専科のようなもの)で絵本を作っている。中田さんはアミー二の何期生だったかな、たぶん5期生だったかな。だいたい7名ほど(それぐらいが丁度いい)で開講するのだけれど、中田さんの年は2名しか集まらなくて、今年は開講しないでおくという選択肢もあった。でも、せっかく勉強したいと思っている人を1年も待たせたくなくて、開講させてもらった。1年待つうちに、やろうという気持ちは消えてしまうかもしれない、ちゃんと待ったとしても、その人のスタートは1年遅くなってしまう。

人生の時間は有限だから、待たせることも遅くしてしまうことも、したくないなと思った。

2名でも開講した事が今回の受賞につながったというわけではないが、開講しなければ、もしかしたらアミー二と中田さんとのご縁はなかったかもしれないし、あたらしい絵本大賞と中田さんのご縁もなかったかもしれない。賞も出版も不思議なもので、タイミングってある気がする。来年だったら、中田さんは(同じ作品を応募しても)大賞を獲れなかったかもしれない。よくない方向のかもしれないを回避して、全部いい方向にむかったと思う。

受賞作はこれから、ひかりのくにから出版され、未来屋書店の協力を得て販売される。楽しみだなあ。

そして夜は、講演を終えられたいとうみくさんと関西の作家さんたちところへ行き、サムギョプサルを食べた。サムギョプサルは美味しかったし、みくさんやみなさんとお会い出来て嬉しかった。残念ながら、中田さんの授賞式と重なってしまい、講演は聴くことが出来なかった。またいつかきっとみくさんの講演を聴く機会はめぐってくると信じている☆

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# by honnara-do | 2018-04-16 02:49 | | Trackback

ごはん

昨日は夕方から、北川チハルさんとKさんと、童話塾の打ち合わせ。
打ち合わせ場所の天満橋は、造幣局の桜の通り抜けで、人がいっぱいだった。
Kさんが、ものすごく頑張ってものすごくいい企画を考えて下さっていて、ものすごくいいワークショップになる予感。
お楽しみに〜

退院した母は、いつものように起き、いつものように食べている。病院では、あんなに眠ってばかりで、少しも食べなかったのに。。。良かったあ。
いつもの場所で、いつもの人たちに囲まれて、いつものように過ごすことが、母にとってすごく大事なんだなと思う。認知症の後期で、要介護5まで進んでいても、もうほとんど何もわからないんでしょ、なんてこと絶対にないと思う。

父は、また炎症があがってきていて、熱も出ているが、元気。しっかり話している。


# by honnara-do | 2018-04-14 17:16 | 家族 | Trackback

作家・楠章子のきまぐれ*のんびりブログ*日々のささやかなことを書いていこうと思います


by honnara-do